ヤッホー! 山と森が好きなアートディレクターの北住です。
今回はブランドのお話です。
ブランドと聞いて多くの方は、海外旅行の際に買ってくる高い財布やバッグのお店を想像するかもしれませんがブランドは高級品だけではありません。安い商品・サービスにも良いブランドはたくさんあります。ブランドとは消費者が、モノを買う際に「〇〇」を買うなら「△△」と肯定的にイメージでき、他社と超差別化できた商品やお店のことです。例えば、それなりの品質・価格の服を買うならユニクロ。おしゃれな雰囲気でコーヒーを飲むならスターバックス。とイメージしている方は多いと思います。
これがブランドです。
経営者は長い時間と労力をかけてこのようなイメージを作り上げていきます。
CONTENTS
デザイナーはブランドとどう向き合うのか
我々デザイナーが普段制作している商品のロゴ、WEBサイト、パッケージ、サイン(店舗・看板デザイン)などはブランドと密接に関係しています。このデザインが洗練されていないと消費者に感じられたら、その商品がどんなに高品質でも消費者に選ばれる可能性が下がってしまいます。それだけにブランドを作り上げていく中で、デザイナーの役割は重要になってくるのです。
おしゃれなデザインなら良いのか?
先程「デザインが洗練されていないと消費者に選んでもらえない」と言いましたが、デザインが洗練(おしゃれ、かわいい、かっこういい)されているかどうかは消費者一人ひとりで感じ方が違います。
ここがブランドを作り上げていく上でデザイナーが失敗するところなのです。
デザインの捉え方は見る人見る人で全然違います。そこでデザイナーは、洗練されたデザインを作る前に経営者目線になり、このブランド(商品)はどんな人に買ってもらいたいのかということを考える必要があります。または経営者からヒヤリングします。 ヒヤリングの重要性は前回の記事「デザインの良し悪しはヒヤリングで決まる。ヒヤリングができれば自分の好きなデザインもできる。」を参照してください。
ターゲットを明確にし、その人たちのニーズを汲み取ったデザインが必要不可欠なのです。ニーズを汲み取ったデザインはターゲットに響きます。だからブランド品は(ターゲットにとっては)格好いいのです。格好良いからライバル商品よりも価格が高くても低品質でも売れるのです。国産車よりも外車を選ぶ人の心理はこんな感じかもしれませんね。
消費者のニーズが変わってきている
近年消費者は、物質的豊かさよりも精神的豊かさを求めている傾向があり、「モノ買い」から「コト買い」にシフトしています。例えば自動車は移動するための道具であり、今まで所有することがステータスでもありました。しかし今はスマホと変わらない生活を豊かにするアイテムのひとつとして認識されつつあります。
売り側の企業もこの傾向にあわせたプロモーションの変化が必要です。トヨタ自動車は、自動車そのものを売ることよりも自動車を介した体験、更にはその先にある価値を提供することにシフトしているようです。
デザイナーも企業のこのような意向を表現する者として、消費者の意識の変化に対応したデザインを提案していかなくてはなりません。
ブランドはメンテが必要
ブランド自体も時代に合わせて変わっていく必要があります。しかしブランドイメージとは長年培ってきたもので、大きく見た目を変えることは逆にイメージを損なう可能性もあります。しかし、先程の消費者のニーズに合わせたデザインが重要と言った時代に合わせたメンテナンスが必要です。
例えばケンタッキーフライドチキンのロゴマークは基本的なデザインは変えずに、時代時代に合わせて少しずつ修正を繰り返しています。
このように微修正を加えることで、イメージを損なうことなく時代に合わせたブランド作りが可能になります。
これからのデザイナーに必要なこと
美しいデザインをつくるセンスはあったに越したことはないですが、それよりも市場や消費者のニーズを経営者よりも先に汲み取り、それをデザインに反映できる意識を持ち、提案できる力が必要かなと思っています。