開業7年目の挑戦。”10ランク上”を実現した、三重県四日市市・パティスリーPONOのWebサイト&ショップカード制作ストーリー

街で見かけるお店の看板や、なんとなく手にとったチラシなど、みなさんが日常で触れるものにも、事業者と作り手のストーリーが隠れています。

制作の裏側を知ることで、デザインを身近なものだと感じてほしい。
そんな願いを込め、事業者とデザイナーの対談を通して、デザインができあがるまでの道のりを深掘りします。

今回は、三重県四日市市のケーキ屋パティスリーPONOさんと、デザイン制作会社エコムクリエーションが、Webサイト・ショップカード制作について語ります。

なかなか聞けない裏話。これから開業する方や、お店を経営している方のヒントになるかもしれません。

この記事の登場人物

里美(押金里美さん)

三重県四日市市にあるパティスリーPONOの店主。
パリで修行したという確かな腕と、美しいケーキに多くのお客様が足を運ぶ。

しーちゃん(田中志帆さん)

パティスリーPONOのスタッフ。いつも明るく優しい接客でお店を支えている。

やんえ(全 壌愛)

エコムクリエーションのコーダー。
今回は営業・山田のサポートとして制作に参加。すべてにおいて全力投球。※現在は退職し新たな挑戦に全力投球中。

梅(下村文香)

エコムクリエーションのデザイナー。
優しい雰囲気の癒し系、と見せかけて中身は熱い射手座の女。愛称は旧姓をもじって「梅(うめ)さん」。

無料でつくってもらったWebサイト。ワンランク上を目指したときに出会った制作会社とは

開業7年目。ワンランク上のお店を目指し、Webサイトとショップカードの刷新を考えたという、パティスリーPONOの店主 里美さん。そんな里美さんと、エコムクリエーションの出会いはちょっと運命的なものでした。

やんえ:
里美さんとの最初の出会いは、私がまだエコムクリエーションに入社する前、コーダーを目指して勉強していた頃でしたね。

PONOさんでクッキーを買ったときに、「お店のWebサイトを作らせてください!」と声をかけたんです。

里美:
そうそう、びっくりしましたよ。
でも、「勉強中の身だからお金は要らない」と言ってくれて。ちょうど私も、Webサイトをなんとかしたい、と思っていたタイミングだったのでドンピシャでした。
そのころはまだ、お店が開業2年目。そんなにお金はかけられないし、自分で3時間くらいで作ったサイトはあるけど気に入らないし、と思っていたので、まるでプレゼントのようでした。

やんえ:
おかげさまで、PONOさんのWebサイトを制作実績として、エコムクリエーションに入社できたんです。入社したことは、PONOさんにはお伝えできてなかったんですよね。

里美:
そうなんですよね、お互い仕事に没頭してて。
いつかまた、やんえさんにお願いしたいな、と思いつつ、無料で作っていただいたので、あまり私から連絡するのも申し訳ないし……と遠慮していました。

それから5年くらい経って、お世話になっている方から「クッキーを製造してくれるところを探している」とご紹介いただいたのが、エコムプロダクトさんでした。

発注数が多かったので、かなり迷ったのですが、エイッとお受けすることにしたんです。そうしたら、エコムプロダクトの担当者さんが「うちの関連会社の、エコムクリエーションに、こういう者がいるんですが……」と差し出してくれたのが、やんえさんの名刺でした。

もう、えええーーー!!!って叫びましたよ。

しーちゃん:
叫び声が厨房まで聞こえてきました(笑)。

やんえ:
私も、PONOさんにクッキーをお願いするという話を社員から聞いて、えええーーー!!!となりました。それで、思わず名刺を持って行ってもらったという(笑)。

里美:
そのあと事務所でお会いした時は、再会のハグをしましたね。

お店の成長に合わせて、Webサイトとショップカードをリニューアル。

思いがけない2人の再会にはびっくりです。それにしても、なぜ里美さんは、新しくWebサイトやショップカードを作りたいと思ったのでしょうか。

里美:
開業から7年近く経って、お店の成長に合わせて、Webサイトをもうワンランク上のものにしたい、という気持ちがありました。
以前作ってもらったWebサイトも気に入っていたんですが、あまり更新できていなかったし、自分で描いたイラストをたくさん載せていたので、素人感がある気がして。

ショップカードは、ちょうど在庫が切れるタイミングだったんです。それに、開業当初とは営業時間が変わったので、修正シールを貼って使ってたんですよ。
それでもう、Webサイトと一緒に新しくしちゃおうと思って。

ショップカードは”できる営業マン”

里美さんからご依頼いただき、いよいよ制作をスタートします。打ち合わせの中で、印象に残っていることを聞いてみました。

里美:
営業の山田さんから、「ショップカードも奥が深いんで、打ち合わせさせてください!」って言われたんですよね。
そのときは、ショップカードって営業日とか電話番号とか載せるだけでしょ?って思ってました。だから、奥が深いってどういうこと……と不思議で。

そうしたら、「ショップカードに営業マンの役割をさせるんです。ショップカードを一人歩きさせて、お店のPRをさせる。そのためにどうするか、一緒に考えさせてください。」と言われて。

しーちゃん:
そうそう、ショップカードでお客様を満足させたり、ワクワクさせられるのか!というのが、そのときの気づきでした。ショップカードが、できる営業マンになってくれるんですね。

里美:
そこでシャキッと背筋が伸びる思いがしました。初めはショップカードなんて可愛けりゃええやんって思ってたけど(笑)、そんな大事なものなんやって。

打ち合わせのときのメモ。ショップカードに掲載する内容や構成を一緒に検討した。

“PONOらしさ”を形にするための対話

打ち合わせを重ねる中で、PONOらしさをより深く知るきっかけがあったそう。どんなきっかけがあったのでしょうか。

やんえ:
打ち合わせでは、毎回かなり熱い話をしましたね。Webサイトにせよ、ショップカードにせよ、「これからお店をどうしていきたいか」に焦点をあててお話を伺いました。

そんな中で、PONOのロゴに込められた里美さんの想いを聞かせていただいたんですよね。それが、PONOや里美さんを深く理解するきっかけになったと思います。

里美:
そうですね。PONOのロゴは、王冠やバースデーケーキのような形です。
でも実は、人と人が手をつなぎ合っている、という表現にもなっていて。私は人とのつながりのおかげでここまでやってこれたし、これからも人を大事にしていきたい。人と人がつながって、支え合っていこう、という意味が込められています。

パティスリーPONOのロゴ。

やんえ:
それを伺って、PONOをただのケーキ屋として表現するのは違うな、と思ったんです。
だから、里美さんの小さい頃の話から、なぜお店を始めたのかまで、深掘りさせてもらって。

梅:
なんかちょっと、時間が止まったように感じるくらい、たくさん話をしましたね。
深い話を重ねるうちに、最初はあっさりしていたデザイン案が、だんだん「PONOらしさ」や「これからのPONO」を強く表現するものになりました。

10ランク上を叶えた写真撮影

対話を重ね、より深くPONOを理解したエコムクリエーション。ワンランク上のWebサイトを目指して、写真撮影を行いました。

やんえ
PONOさんのステージをワンランク上にあげる。そのためには、写真撮影が絶対に必要だと思いました。
でも、お客様にとって、自分でも用意できそうなもの(写真)にお金をかけるって、判断が難しいのはよくわかります。だから、なぜ写真が必要なのか、プロが撮る写真はどう違うのか、しっかり説明させていただきました。

さらに、ご予算を伺っていたので、がっつり撮影しても予算をオーバーしすぎないよう、撮影にかける時間を1日だけに抑えました。

これにはカメラマン(梅山寫眞店さま)にもかなり協力していただいて。
どうしたら1日で撮り切れるか、入念に打ち合わせをして撮影スケジュールを組みました。

里美:
やんえさんや梅さんの熱意に、これは撮ってもらうべきかもな、と納得して撮影をお願いしました。

結果、本当によかったです。
やっぱりプロに撮ってもらった写真は全然違う。ワンランク上とごろか、10ランクぐらい上になりましたよ。
自分でもそれなりの写真は撮れるけど、それとは全く違いますね。
写真撮影には本当に、お金をかけるべき、と思いました。

撮影:梅山寫眞店

キービジュアルに込めた“ワクワク”の仕掛け。デザイナーのこだわりとは

里美:
見せていただいたデザインは、クリームがたら〜んと垂れている表現とか、水彩画のようなボカシとか、私の想像を超えていて「うわー!もう、めっちゃいいやんけ!」ってなりました。思わず携帯投げましたもん(笑)

梅:
あはは。気に入っていただけてよかったです。

里美さんの目指すところや、PONOの世界観を意識してデザインしました。

とくに、Webサイトのキービジュアル(一番初めに出てくるアニメーション)にはこだわりがあります。
ポイントになったのは、お店の入り口の扉。人と人とが支え合う日々の中にPONOがあり、扉の向こうのワクワクを届けている。
それをどう表現するか、社内でもかなり検討を重ねました。

最終的には、イラストを使ったアニメーションで、扉の向こうに何があるんだろう、と想像させる仕掛けを採用しています。

梅:
さらにスクロールすると、「物語は扉の先に」という言葉と、PONOのコンセプトストーリーが続きます。
PONOはただのケーキ屋じゃない。だから、他のケーキ屋にはない物語をWebサイトの冒頭に置いて、PONOらしさを表現しました。

里美:
これには本当に、制作者の愛を感じましたね。私たちが考える以上に、私たちらしさを表現してくれた。

今は、検索すれば、グルメサイトとか、レビューとかでお店の情報を知ることができます。だからこそ、自分から発信するWebサイトでは、「こういうことを大切にしている、こういうお店だよ」という、自分たちの声を伝えたいです。

“作って終わり”ではない。公開後の反響と、育てていくWebサイト

Webサイトやショップカードが完成。でも、作っただけで終わりではない、これからのパティスリーPONOとは。

やんえ:
完成したWebサイトやショップカードの反響はいかがでしたか。

里美:
好評です。良いお声をたくさんいただきました。知り合いから「見たよ!めっちゃいいやん!」と連絡があったり、Webサイトを見たらしきお客様がみえたり。

これからは、もっと見ていただけるように、Webサイトを育てていくのが大事なんですよね?
教えてもらった通り、自分でお知らせを更新したりしています。

やんえ:
そうですね。Webサイトは更新して育てていくのが大事。

だから、PONOさんがご自身で更新しやすいよう、使いやすい管理画面をつくりました。
これからはケーキの値段が変わっても、自分で変更できるし、変更してもデザインが崩れることはないので安心ですよ。

ビジネスを超えて繋がり合う、お客様とエコムクリエーションの関係性

制作を通して、熱い対話を繰り返したPONOと、エコムクリエーション。PONOにとって、エコムクリエーションはどんな印象だったのでしょう。

やんえ:
制作を通して、私たちエコムクリエーションってどんな印象でしたか?

里美:
こんな熱い人ばっかり集まっている会社があるんやっていう(笑)。みんな雇われてる社員のはずなのに、熱量がすごくて。
何よりも「良いものをつくるには、どうしたら良いか」を最優先している感じ。

しーちゃん:
私も、Webサイトやショップカードを作るのって、もっとビジネスライクに進んでいくものだと思っていました。
そしたら、何度も会いにきて話を聞いてくれるし、提案してくれるし。

里美:
直接お会いした方以外にも、たくさんのスタッフの方が制作に関わってくれていましたよね。社内でデザインをチェックしたり、意見を出したり、いろんな役割の方が力を合わせて作っているんだなと。

途中から、エコムクリエーションのみなさんの熱さにひっぱられて、なんか自分も燃えてきて(笑)。

やんえ:
制作を通して、PONOさんと、PONOを支えるお客様との良い関係性も知れました。こちらも感動させてもらいながら、みんなで一緒に熱くなれたと思います。
一緒につくらせていただいて、ありがとうございました!

これからのPONOさんも、しっかりサポート、応援させていただきます!

写真撮影後のオフショット。たくさんの方に制作にご協力いただきました。

パティスリーPONOについて


パティスリーPONO(Patisserie PONO)


三重県四日市市羽津町23-15
ナビハイツ霞ヶ浦ステーション102

営業日 木曜・金曜・土曜

営業時間
木曜日 11:00〜20:00
金曜日 11:00〜19:30
土曜日 11:00〜20:00

電話番号 059-327-7178

Webサイト:https://www.patisserie-pono.com
オンラインショップ:https://pono923.base.shop
Instagram:https://www.instagram.com/patisseriepono/