こんにちは。エンジニアの山岡です。
「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの表示と使い方」連載第2回目は、CCライセンスの画像を加工・編集など"改変して使う場合"についてご紹介します。
前回の記事はこちらからご覧ください。
普段生活する中で「改変する」という言葉、使いますか? あまり使わない堅苦しい言葉ですよね。私は人生で一度も使ったことがありません(多分)! リミックスや二次利用という表現の方がなんとなくイメージしやすいのではないでしょうか。つまり、元あったものを使って新しく作り変えることです。
CONTENTS
改変OKなパターン
CCライセンスには6種類の表示パターンがあり、その中でリミックスOKなのは4パターンです。さらにその内、営利目的で利用可能なのは2パターンです。
非営利目的なら改変OKな4パターン
日本語表記 | 英語表記 | 公式アイコン |
CC 表示 | CC BY | |
CC 表示 継承 | CC BY-SA | |
CC 表示 非営利 | CC BY-NC | |
CC 表示 非営利 継承 | CC BY-NC-SA |
営利目的でも改変OKな2パターン
日本語表記 | 英語表記 | 公式アイコン |
CC 表示 | CC BY | |
CC 表示 継承 | CC BY-SA |
改変NGなパターンもある
「CCライセンスって、作った人を表示すれば無料で使っても良い素材の事でしょ?」
と、誤解している人もいるのではないでしょうか。ブログにそのまま掲載するのはOKでも、加工してしまうとNGになる場合もあるので注意が必要です。
次の表は改変NGなパターン です。「改変禁止(ND)」と表示がされている画像は加工・編集など"改変"して使うことはできません。
日本語表記 | 英語表記 | 公式アイコン |
CC 表示 改変禁止 | CC BY-ND | |
CC 表示 非営利 改変禁止 | CC BY-NC-ND |
改変したら「改変した」と明記する
どのパターンでも、画像を加工・編集など"改変"した場合、改変したという事を表示しなければなりません。
では今回も、前回の記事と同様にnakaeさんのFlickrからお借りしたカモシカの写真を使って説明していきます。
例(元の画像)
加工前の元の画像です。全く改変していませんが、CCライセンス の元に提供されている画像なのでライセンス 表示は必要です。
例(改変後)
画像を加工・編集し、動物コレクションカード風に仕立ててみました。さて、表示はどの様に変わるのでしょうか。
とても長い表示になりました!
ひとつひとつ説明していきます。作者は私「Ryo Yamaoka」、作品名は「Collections of Japanese Animals #12」としました。さらに、元の画像の作者「nakaeさん」と作品名「japanese serow」を表示した上で、「改変して制作しました」と明記しています。
ライセンス 表示も忘れずに。ライセンス 表示は、クリエイティブ・コモンズ公式サイトのライセンス選択ページを使って設定しました。最新版になったことで、元の画像は「2.0 一般」でしたが、改変後は「4.0 国際」に変わっています。
継承(SA)が付いていない場合は、元のCCライセンス よりも厳しい条件ならば自由に設定することができます。元の画像に「継承(SA)」という条件が付いていなかったので、私の判断で新たに「非営利(NC)」という条件を追加しました。
継承(SA)とは?
継承(SA)とは、「同じ条件のライセンスで頒布する場合に限り、作品の改変を認める」というものです。
例えば、元の画像が「表示 2.0 一般」ではなく「表示 継承 2.0 一般」というCCライセンス だった場合、先ほどの例の様に非営利(NC)を付与することは出来ませんでした。ただし、同じ条件の新しいバージョン「表示 継承 4.0 国際」にするのはOKです。
非営利(NC)とは?
非営利(NC)とは、「非営利目的に限って利用を許可する」というものです。
営利と非営利の境界とは?
非営利にあたる場合
- 利益を主催者や利害関係者に還元しないチャリティイベント
- NPOの寄付募集
などのチラシやポスター、パンフレットに画像を使用する場合は非営利利用と言えます。
判断が難しい場合
明らかに非営利、明らかに営利と明確な場合は切り分けできるのですが、グレーゾーンも確かに存在していて分類するのが一筋縄ではいかないケースは少なくありません。
さて、日本でCCライセンスを普及する活動をしているクリエイティブ・コモンズ・ジャパンの説明はどの様になっているのでしょうか。
何が「営利」で何が「非営利」かは、最終的には裁判所の解釈によって定まりますので、残念ながらクリエイティブ・コモンズ・ジャパンではお答えすることができません。
出典: クリエイティブ・コモンズ・ジャパン - FAQ
うーん、やはり切り分けは難しいようです。さらにこのように続きます。
例えば、対価をとって販売し利益を得ている場合には、営利活動といえるでしょう。また、NPO法人やボランティア団体、学校法人などが何らの収入を得ずに行っている利用は、非営利といえるでしょう。しかし、この間にある沢山の境界事例では、何が営利で何が営利ではないのか、という判断は大変難しく、国によっても異なり、同じ国でも事例によっても異なる可能性があるため、専門的な法律アドバイスが必要になってしまう場合があります。クリエイティブ・コモンズでは、この点が明確になるよう国際的に議論を続けているところです。
出典: クリエイティブ・コモンズ・ジャパン - FAQ
との事なので、今後はより分かりやすくなって行くのでしょうね。現状では、迷ったら非営利(NC)表記のないものを使用するのが無難だと思います。
最後に
使用条件が複雑になると、どうしても混乱してしまいがちです。非営利についても判断が分かれそうです。
何はともあれ、コピーが容易な現代においてCCライセンス はとても意義のある取り組みです。表示とルールを理解して、正しくCCライセンスと付き合っていきたいですね。そして何より、CCライセンス が分かりやすく使いやすい仕組みに育っていく事を願ってやみません。(今のルールじゃちょっと難しいよね☆)
尚、権利者から「著作権表示を削除して欲しい」と要望があった場合は速やかに削除する必要がありますので覚えておきましょう。元の画像の作者にとって意図しない改変をされてしまった時に、自身の名前等の表示を消せるようにするための決まりです。
次回は著作権フリーと言われるパブリック・ドメイン とCC0(シーシー・ゼロ)についてご紹介します。