街で見かけるお店の看板や、なんとなく手にとったチラシなど、みなさんが日常で触れるものにも、事業者と作り手のストーリーが隠れています。
制作の裏側を知ることで、デザインを身近なものだと感じてほしい。
そんな願いを込め、事業者とデザイナーの対談を通して、デザインができあがるまでの道のりを深掘りします。

「フレイル」という、少し難しく感じる言葉を、もっと身近に、もっと分かりやすく。
そんな思いから生まれた東員町のフレイル啓発キャラクター制作。その背景から、コンセプトやデザイン、グッズに込めた思いまで。東員町役場 健康長寿課さんと、制作を手がけたエコムクリエーションのアートディレクター、イラストレーターの3人で制作の裏側を振り返りました。

この記事の登場人物
諸岡さん
東員町役場 健康長寿課 保健師。
町民のみなさんの健康づくりをサポート。
アートディレクター 天野
三重県菰野町のデザイン制作会社、エコムクリエーションのアートディレクター兼デザイナー。
今回はグッズのデザインを担当。
イラストレーター 吉田
エコムクリエーションのイラストレーター。
今回はキャラクターのイラスト制作を担当。
東員町のフレイル予防を支える「フレイルサポーター」
はじめに、フレイル予防の活動について教えていただけますか?
諸岡:
令和3年から「フレイルサポーター」の養成講座を始めました。きっかけは、東京大学の飯島勝矢先生をお招きして開催した講演会です。現在は、サポーターのみなさんが集会所や自治会、老人会、仲良しクラブなど、地域のさまざまな場所へ出向き、フレイルチェックを行っています。三重県では初めての試みでしたが、そこから活動が始まり、5年以上が経ちました。
天野:
5年って、かなり長いですよね。
諸岡:
はい。みなさんが本当に熱心に活動してくださっていて。もう、東員町自慢のサポーターさんたちです。
吉田:
サポーターの方がブログをされていたりしますよね。
諸岡:
そうなんです。自らブログを更新して、活動の様子を写真で発信してくださったりもして。サポーターの活動はボランティアなので、地域に出て続けていくって、簡単なことではないと思うんです。自発的に5年かけて活動を積み上げてきてくれたことが、本当にありがたいです。
天野:
サポーターさん自身が活動することも、フレイル予防につながっていますよね。
諸岡:
本当にそうなんですよ。地域の方の健康づくりを支えるだけじゃなくて、サポーターさん自身も人と関わったり、外に出たり、活動したりする。それが自分自身のフレイル予防にもつながります。サポーターさんが元気になることで、地域も元気になる。そんな良い循環ができている気がします。

フレイル予防をもっと身近にするため、キャラクターを制作
キャラクターを作ろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
諸岡:
これまでサポーターのみなさんが熱心に活動してくださって、役場もその活動を応援してきました。活動も5年目を迎えて少し落ち着いてきたので、ここから「どうやってフレイル予防を広げていくか」へと、次の段階を考えるようになったんです。
天野:
そこで、キャラクターを作ろうということになったんですね。
諸岡:
そうなんです。まずはサポーターさんの後押しになればいいなと思ったのと、町民のみなさんにもフレイルをもっと柔らかく、覚えやすく感じてもらえるような、シンボル的なものを作りたいと思いました。東員町には代表するキャラクターもいないので。
吉田:
キャラクターがいることで、身近に感じてもらえるかもしれないですよね。
諸岡:
はい。「かわいいな」「何だろう?」と気になるきっかけになったらと思いました。

プロポーザルから、制作会社を選定
キャラクター制作にあたり、エコムクリエーションを選んだ理由を教えてください。
諸岡:
エコムクリエーションさんには、以前ポスターの制作もお願いしていて、お世話になっていたんです。ただ、今回は直接ご依頼するという形ではなくて、プロポーザル形式で何社かに提案していただき、その中から選ばせていただきました。
吉田:
当時の担当者がとても気合い入っていました。「絶対とるぞ!だから何も迷わず描いて!」と言われました(笑)。
諸岡:
熱いですね(笑)。
吉田:
なので私も楽しく描かせていただきました。
諸岡:
これまでは、なるべく費用を抑えられるところにお願いするのが基本だったんですけど、今回は「本当に金額だけで決めていいのかな?」という思いがあって、上司に相談したんです。せっかく作るなら、町民のみなさんに長く親しんでもらって、フレイル予防の普及にもつながるものにしたい。だから、金額だけではなく、デザインや提案内容、フレイルに対する理解なども含めて、総合的に評価して決めようということになりました。
天野:
それは制作会社としても嬉しいですね。心をこめて制作したものなのでしっかり見てほしいです。
諸岡:
はい。最終的に3社に提案していただいて、課全体で無記名投票をして決めました。結果として、エコムクリエーションさんにお願いすることになったんです。
吉田:
え、それは知らなかったです!嬉しいですね(笑)。

諸岡:
イラストももちろん可愛かったんですけど、エコムクリエーションさんの提案書は本当にストーリーがしっかりしていてわかりやすかった。キャッチコピーの「こころもからだもずっと晴れ」もすごく響きました。
吉田:
コピーも、何度も書き出して検討しました。その中でもこのキャッチコピーは当時の制作メンバーにも好評でした。
諸岡:
フレイルは体の衰えと思われがちなんですけど、一番大事なのが「社会参加」なんです。人とのつながりがないと心が弱ってしまうというのが飯島先生の考えで。そういった意味でもこのキャッチコピーは「こころ」も入っているのがよかったです。
吉田:
最初、「てるてるわんこ」でご提案しましたが、フレイル予防を前に出さないとわかってもらえないからという声があって最終的に「フレフレわんこ」になりましたよね。
諸岡:
そうですね。「フレイル」と、「フレーフレー」という励ましの言葉がかかっていて、いいなと思いました。


キャラクターが決まり、グッズ展開へ
グッズを制作するにあたり、打ち合わせを重ねました。打ち合わせを通してどんな印象を持たれましたか?
諸岡:
天野さん、本当に返信が早くて(笑)。必要な時は役場に来てくださいましたし、こちらの都合で申し訳なかったんですが、少し急いで進めてもらわないといけない時期もあって。でも、そういうときもすぐ対応していただきました。打ち合わせも進めやすかったです。
天野:
諸岡さんがしっかり企画書を書いてくださっていたので、わかりやすくて助かりました。
諸岡:
「こういうものを作りたい」と伝えると、そのまま形にするだけじゃなくて、「これだともっと良くなるんじゃないですか」と提案してくださる。一緒に考えてもらえたことで、最初に思っていたものよりさらに良いものが作れたんじゃないかなと思います。
天野:
制作側としても、相談しながら形が変わっていくのは楽しかったですね。

諸岡:
最初はステッカーとボールペンを作ったんですよね。かわいいキャラクターができたので他にもグッズをいろいろ作りたい、というのが今年度の目標です。
天野:
そうですね。作りましょう!これまで制作した中でお気に入りのグッズはありますか?
諸岡:
ステッカー、すごく気に入っています。缶バッジも、挟むタイプに変えてもらったので穴をあけずに済みますし。
天野:
いい感じになりましたよね。うちわもかわいいですね。
諸岡:
はい、かわいい、欲しい!!
天野:
提案書に小さく描いていたイラストを気に入ってもらえて、横断幕のデザインに入れましたよね。
諸岡:
そうなんです。「これがいいです!」ってお伝えしましたね(笑)。他のグッズも、フレイルを知ってもらいたいので、文字を大きく、とか、見やすさを重視してデザインをお願いしました。見やすさとかわいさが合わさって、とてもいいものができたと思います。




これからの展望
キャラクターができて、1年くらいになりますが、みなさんの反応はどうでしょうか?
諸岡:
サポーターさんの中では「かわいい」「親しみやすい」と好評です!
吉田:
ブログにも書いてくださっていますね。「キャラクターができました!」って。
諸岡:
そうですね。でも、実はまだ名前を覚えてもらっていなくて(笑)。なので新しく作ったグッズにはフレフレわんこ、ひばりんの名前を入れてもらいましたね。
吉田:
はい。グッズをきっかけに、キャラクターの名前も覚えてもらえたら嬉しいですね。
天野:
うん、本当に。そして今後、いろいろな場面で活用していけるといいですね。
諸岡:
キャラクターを見て「フレイルだ!」ってなってくれたら嬉しいし、「かわいいな」から入って、健康づくりのきっかけになってくれたらいいなと思います。キャラクターやグッズを活用していく機会が多くなると思うので、フレフレわんこ、ひばりんと一緒にフレイル予防を広げていけることが楽しみです!

エコムクリエーションについて

株式会社エコムクリエーションは、三重県菰野町を拠点とした、デザイン・Webサイトの制作会社です。
環境保全活動や自然公園の管理を行うNPO法人ECCOMを母体とし、山や川などの自然観光資源を活かしたPRやイベントの企画、それに伴う広報物の制作を得意としています。
〒510-1323
三重県三重郡菰野町小島4059
株式会社エコムクリエーション


